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カーボン・オフセットの現場に潜入する

梅干でおいしく参加! 環境への一歩 ~株式会社トノハタの「南高梅」でカーボン・オフセット~

梅干でおいしく参加! 環境への一歩

全国で取り組まれているカーボン・オフセットの取組をご紹介する「プロジェクト潜入企画」。
それぞれのプロジェクトをのぞいてみると、取り組んでいる人々の熱い想いやさまざまな“声”が聞こえてきます。
今回潜入するのは、和歌山県日高郡で梅干の製造と販売を行っている株式会社トノハタ。
梅干と環境がどうつながっていくのでしょう…?
代表取締役社長の殿畑雅敏さんに、取組への想いをうかがうことになりました。
どのようなお話が聞けるのでしょうか。行ってみましょう!

日本一の梅の里で、カーボン・オフセット!?

南紀白浜空港から、車を走らせること約1時間。
国内で人気の高い梅の品種「南高梅」の発祥地、みなべ町に到着します。
1950年の創業以来、みなべ町から全国にその梅干を届けているのが、株式会社トノハタです。
太平洋を見渡すことができる海沿いに、本社が建っていました。
現在の従業員数は120名。地元でも大きな企業の一つです。

日本一の梅の里で、カーボン・オフセット!?

さらに、食品業界で初めて、2009年8月にカーボン・オフセット認証も取得しトノハタは、2008年からカーボン・オフセットの取組を行っているのです。
その対象となっているのは、スーパー等で購入できる「地球に優しい南高梅」のはちみつ梅・さらり梅・しそ漬梅の3品目と、「カーボン・オフセット紀州産南高梅」などのギフト用セットの6品目です。

殿畑さんに、導入のきっかけをうかがいました。
「今後の社会や消費者の価値観を考えたときに、環境問題は重要な柱になると思ったんです。世の中が新しい価値づくりに進むなかで、当社も新しい取組をしようと考えました」(殿畑さん)

環境について調べるうち、インターネットでカーボン・オフセットの仕組みについて知ったという殿畑さん。
なぜ、目をつけたのがカーボン・オフセットだったのでしょうか。

「はじめは勉強不足だったものですから、自分なりに勝手な想像をしていたんです。
我々は地方にいて、森林資源に恵まれていますよね。地方で創出される酸素やエネルギーを、都会が大量に消費していて、また地方の森林がCO2を吸収して環境を整えて…という循環です。それをイメージしたときに、CO2そのものをさらに循環できる方法はないものか? と考えていたんですね。
梅林はこのエリアに約4000ヘクタールもあるので、吸収源として活用できるかもしれない、と思ったんです。
でも後から、CO2を吸収しても木を切ってしまえばまた分解されて炭素が出てしまうので、その実現はむずかしいことが分かりました(笑)」(殿畑さん)

それでも、関連した新しい商品を作ることはできるのではないか──。当時、既に一部でカーボン・オフセット商品は出回っていましたが、まだ数が少なかったそうです。
殿畑さんの発想が転換した瞬間でした。

栽培から流通までのCO2を徹底的にオフセット

自らを「興味のおもむくままに行動してしまうタイプ」と称する殿畑さん。ここから、その行動力のエンジンがかかります。
殿畑さんは、既に取組を始めている企業を調べ、突然その会社に「ぜひお話を聞かせてください」と電話し、ご挨拶へ。
その情熱が先方の心を動かしたのでしょう、その方から一年ほどかけてカーボン・オフセットについての指導を受けることができ、ノウハウを学んだといいます。

栽培から流通までのCO2を徹底的にオフセット

「和歌山県みなべ町には何百万本もの梅の木があり、産業を支えています。この産業を維持発展させることが、ある意味では環境にやさしい活動にもつながるんです。
そこで、まずはCO2をどれくらい排出しているのか、基礎的なデータを集めることにしました。梅の木を掘り起こし、枝や幹、根に分解して、それぞれ何キロあるかを計測し、報告書にまとめたんです。とても時間がかかったんですけどね(笑)。そういうデータがなかったものですから、自分たちで作るしかなかったんです」(殿畑さん)

殿畑さんは、地元の梅農家や梅を包装する資材メーカーにも協力を求めました。
CO2排出の計算について現在ほど理解や知識、情報のなかったであろう当時、どのように依頼していたのでしょうか。
「長いお付き合いをさせていただいている方たちですから、協力的でしたよ。ただし、CO2排出量をいきなり聞いても分からないでしょうから(笑)、『どれくらいの頻度で梅の木のある山に行っているのか』、『その距離はどれくらいか』、『移動手段は何tのトラックか』などの細かい質問をして、計算しました。こいつは何を聞いてくるんだ、って不思議だったかもしれませんね」(殿畑さん)

こうして、梅の栽培から加工、包装、商品輸送にいたるまでのすべてのCO2排出量を、徹底的に調べ上げたトノハタ。とくに資材原料の一部はアメリカだったことから、資材関係のCO2排出量を算出するのには苦労したといいます。

そうした取組を始めてから1年ほど経った頃、環境省による認証制度が始まることを知ったそうです。
「すぐに申請しました。どうせなら一番に取得したかったんですが、残念ながら3番でした」と笑う殿畑さん。
取得以来、トノハタは毎年認証を継続しています。ここにも、筋を通す殿畑さんの姿勢を感じずにはいられません。

梅の生産現場で地球環境の変化を感じる

実際に生産現場を見せていただくことにしました。
まずは、梅農家・鈴木寛一さんのもとへ。
梅干の素敵なTシャツがお似合いです。

ビニールハウスのなかに、ふっくらとした梅が寝かされ、大量に並んでいました。
梅のフルーティーでやさしい香りが、辺りに広がっています!
ここで梅の栽培から収穫、昔ながらの梅干にするまでの「一次加工」が行われています。

「一年のなかで一番忙しいのは、収穫時期ですね。梅の収穫って、完熟して自然にポトッと落ちたものを拾うんです。私たちは、その日のうちに拾って塩漬けしないといけないんですよ。たとえば、午前中に拾ったら午前中から塩漬けしないと完熟しているから梅の皮がやわらかくて、塩漬けのタイミングが遅れると、梅が重なったときなどに梅の皮が切れてしまうんです」(鈴木さん)

太陽によく当たると梅は完熟するそうです。梅農家さんは、スーパーなどで見かける青梅を使っているのではないのですね…!
樽のなかで2ヶ月ほど熟成させると、塩分のカドが取れ、果肉の色も黄色から赤茶っぽい色へと変化するそうです。
塩漬けの後、一度に全部は干せないので、秋にかけて少しずつ天日干しするそうです。
その後は手作業で、梅を一つずつ振り分けていきます。無傷を「A」とした等級が「A」~「D」まであり、さらに大きさは「5L」から「S」までの7段階に分けられます。

環境と密接な仕事である梅農家。鈴木さんに、地球環境の変化について実感をお聞きしました。

「感じることはたくさんありますよ。これまでよく収穫できていたエリアで実る量が減ったり、あまりよく実らなかった梅の種類が最近よく実るようになったり、変化してきています。
今南高梅の研究が進んでいるようですけど、私としてはどの木がよく実るかを観察して、それを継いできちんと残していきたいと思っています」(鈴木さん)

気温が高くなると、梅の熟度が増しすぎ“過熟”になってしまうといいます。今後の環境変化によってそうした状況になる可能性はゼロではないため、関係者は環境への意識を高く持っているそうです。
鈴木さんは、昔は山で燃やしていたという、古くなった梅の木の枝について「現在は2年ほど干して乾燥させ、冬にビニールハウスを温めるボイラーの薪として活用しています」と教えてくれました。

消費者の“選択”が問われる時代へ

そして、梅農家からトノハタの本社工場へ梅が持ち込まれます。ここでは、減塩・味付けなどの加工をする「二次加工」が行われているのです。
洗浄や選別、調味、品質検査を経て、手作業でパック詰めが行われていました。

工場内はすべてLED電球を使用していたり、調理液はリサイクル活用したりなど、ほかでも環境への配慮が徹底されていました。さすがです…!

こうしてようやく出来上がった商品。カーボン・オフセットの対象商品には、写真のようなチラシが添えられています。

「私は環境にまつわることが、消費者の方にとって、いずれ商品を買うときの重要な購買動機の一つになると思っています。
カーボン・オフセットは、会社がなくなるまで続けようと思っていますよ。
ぜひ、このマークがもっと認知されていくといいですね」(殿畑さん)

株式会社トノハタ

〒645-0014
和歌山県日高郡みなべ町西岩代195-1

電話番号0739-72-2423
ホームページhttp://www.tonohata.co.jp/
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