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カーボン・オフセットの現場に潜入する

シイタケや大豆製品でオフセット! ~秋田県山本郡八峰町の「J-VERプロジェクト」~

シイタケや大豆製品でオフセット! ~秋田県山本郡八峰町の「J-VERプロジェクト」~

全国で取り組まれているカーボン・オフセットの取組をご紹介する「プロジェクト潜入企画」。
それぞれのプロジェクトをのぞいてみると、取り組んでいる人々の熱い想いやさまざまな“声”が聞こえてきます。
今回は、町のバックアップのもと、カーボン・オフセットを取り入れた商品が複数生まれているという八峰町へ。どのような方たちにお会いできるのでしょうか。
さぁ、行ってみましょう!

町の約8割が森林。手入れが必要な人工林も多い

今回やってきたのは、秋田県・八峰町。日本海側の青森県境に位置し、世界遺産登録で知られる白神山地のふもとにあります。

出迎えてくれたのは、八峰町農林振興課林業係主査の木藤誠さんです。

環境保全に積極的な八峰町。その町の“環境仕掛人”として奔走しているのが木藤さんです。
八峰町はいつから環境保全に取組み始めたのでしょうか。

「八峰町の面積の約8割は、国有林や私有林を含めた森林です。世界遺産である白神山地に隣接しています。
そうした環境のため、2007年度から森林整備計画のもとで町有林の保全のための間伐を行っていました。3,472haある町有林のうち、約3分の1は杉の人工林で、間伐が必要だからです。
実は世界遺産隣接地域のまわりも人工林なんですよ。最短サイクルで5年ごとに、定期的に間伐を行っているのです。 」(木藤さん)

町としてカーボン・オフセットを推進!

木藤さんが初めてカーボン・オフセットについて知ったのは2010年のこと。秋田県庁からの話だったそうです。
その後、木藤さんは通常業務の傍らカーボン・オフセットに関する勉強を重ね、同年に「白神山麓・八峰町有林J-VERプロジェクト」を立ち上げました。

「カーボン・オフセットについて十分に理解するのには時間がかかりました。初めて聞いたときには『何の話ですか?』と思ってしまったほどです(笑)。
立ち上げるまで苦労はありましたが、町有林の一部を適切に間伐し、クレジットを売却するというプロジェクトを無事に始められました」(木藤さん)

八峰町では、J-VER制度によって得た資金がどのように地域振興に役立っているかを明らかにするため、特定財源として基金を設立し、積み立てて管理しています。

はじめに木藤さんが連れていってくれたのは、町内のあるハウス。
何の建物でしょう…? おそるおそる扉を開けると、そこに所狭しと並んでいたのは、なんとシイタケを栽培している棚でした!
棚には榾(ほだ)というブロックが置かれ、ニョキニョキと多くのシイタケが生えています。

廃棄していたシイタケが絶品に生まれ変わる!?

「こんにちは」と笑顔で迎えてくれたのは、このハウスを管理している有限会社峰浜培養で常務を務める佐々木正芳さん。
同社は、菌床しいたけや菌床ブロックの製造・販売のほか、「秋田しいたけ 八峰美人」の生産で注目を集めているそうです。

この「八峰美人」というシイタケ、同社が木藤さんに相談をしたことがきっかけで生まれたといいます。

「あるときシイタケのもとになる種菌を変更したら、大量にシイタケの芽が出て、製品として出荷できるシイタケを収穫した後、榾に残った成長途中の芽をたくさん摘み取らなくてはいけなくなったのです。
このハウスだけでも榾は21,300個あり、ハウスは全部で55棟あります。販売に適さない小さなシイタケが大量に発生してしまい、その廃棄コストに悩んでいました。それで木藤さんに相談したのです」(佐々木さん)

販売できないといっても、その理由は「規格外である」だけ。実は旨みが凝縮された、おいしいシイタケだったそうです。
そこで、“環境仕掛人”の木藤さんはひらめきます。「これを商品にして、クレジットを活用しよう!」。
その後、クレジットの創出側、活用したい企業、消費者の三者をつなぐサービスであるEVI推進協議会に依頼し、2014年3月、環境貢献につながる新商品「秋田しいたけ 八峰美人」が誕生しました。

それにしても「八峰美人」とは、おもしろいネーミングです。
「町名の『八峰町』から名付けられました。『八方美人』という言葉はいいイメージで使われないこともありますが、それを逆手にとったネーミングです。インパクトがあるからか、お客様からの評判もいいんですよ」(木藤さん)

1パックあたり5kg-CO2をオフセット。価格は300円(税込)で、そのうち50円が白神山地の森林保全に使われます。
パッケージにもこだわりました。町名の「八」からヒントを得たデザイナーのアイデアで八角形の容器にし、木藤さんのアイデアで商品ラベルに国産の間伐材を使った紙を採用しました。
現在、首都圏の直売イベントを中心に販売しています。環境意識の高い人を中心に人気が高まり、毎回完売しているそうです。

地元の素材を使った大豆製品にも注目

次に、木藤さんが「さらなる企画に向けて動き出しているんです」と連れていってくれたのが、町内で豆腐の製造や販売を手がけている松岡食品。
同店は2015年から、地元産の緑色をした青大豆と白神の水を使った「グリーン豆腐」と、秋田大豆のおからと豆乳を使った2タイプの「おからドーナツ」、全3商品をカーボン・オフセットの対象にするということです。

甘みとコクのあるまろやかな食感が特徴の「グリーン豆腐」は地元で大人気。「おからドーナツ」は甘さひかえめのやさしい味で、これもファンの多い商品です。

「1万個につき1tをオフセットしています。また対象商品であることが分かるよう、シールを貼っています。シール1枚につき1円がクレジットを購入する代金に当てられ、森林活動の応援につながっているんです」(松岡さん)

まさに、消費者参加型の環境貢献アイテムです。

実は、木藤さんと店主の松岡清也さんは同じ高校の卒業生。
「松岡さんが地元の素材を使うことにこだわっている職人だからこそ、提案しました」と木藤さんは話します。

松岡さんは、地元を愛する父親の背中を見て育ったと言います。
「父は地元産の大豆にこだわるなど、自分の立場で地元を盛り上げていくことを常に考えていました。私もその影響を受け、今も豆腐づくりに地元の大豆や水などを使っています。自然豊かな地元が好きなんです」(松岡さん)

そうした背景があり、ずっと「何かの形で地元の環境に貢献したい」と考えていたという松岡さん。豆腐は暑さによって売れ行きが変わりやすいため、夏の異常な暑さなどに地球温暖化を実感してもいたそうです。

「以前、ある方から『100年後や200年後の地球について、今考えなければいけない』という話を聞き、ハッとさせられたことがありました。
でも、自分の商売にからめた形で実現するのはなかなか難しかったんです。できるだけ車を使わないようにしても、限度がありますしね。
今回ご縁があって導入できました。自然や人に恵まれたこういう町で商売ができて幸せです」(松岡さん)

自然豊かな故郷を引き継いでいく覚悟

公私ともに親しい木藤さんと松岡さん。二人とも吹奏楽という同じ趣味をもち、2014年12月にプライベートで「能代高校メモリアル吹奏楽団 第1回演奏会」というイベントを開催しました。なんと、その演奏会もカーボン・オフセットして、環境省のカーボン・オフセット認証も取得したそうです。
二人の地元や環境への強い愛情を感じます。

木藤さんに、環境への想いをお聞きしました。

「八峰町は、海にも山にも恵まれた自然豊かな町です。子どもの頃は、海の近くの松林で松ぼっくりを拾ったり、山でドングリやグミの実を採集したりして遊んだものでした。
今は環境破壊や温暖化が進んでいて、正直言って日本の森林は状態がいいわけではないと思うんです。地元の人はもちろん、都会に住む方にも国内の森林に興味をもってもらえるようにしたいと考えています。
過去に行われたことは現代を生きる私たちが引き継いで、継続的に環境の手入れをし、今後どう活用していくかということまで考えていかなければいけないと思っています。
また、クレジットは作ることが目的ではなくて、販売して活用してもらってこそ意義があります。2020年までにはクレジットを完売させたい。いい商品を入口にして、町を知っていただくことや町を良くすることにつなげていきたいですね」(木藤さん)

八峰町役場 農林振興課

〒018-2502
秋田県山本郡八峰町峰浜目名潟字目長田118

電話番号0185-76-2111(代)
0185-76-4609(農林振興課直通)
ホームページhttp://www.town.happou.akita.jp/
有限会社峰浜培養

〒018-2502
秋田県山本郡八峰町峰浜目名潟字大沼10

電話番号0185-70-3100
松岡食品

〒018-2664
秋田県山本郡八峰町八森古屋敷43-3

電話番号0185-77-2024
ホームページhttp://www.matsuoka-foods.com/
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